[Bio-Edu] Man5化抗体 (mAb)のPKクリアランスは2倍高い [2020/07/04] ID18368

論文の概要

  • ほとんどの抗体のアミノ酸位置297(Fc)にはグルコシル化部位がある
  • グリコシル化のパターンによっては、薬物動態(PK)、薬力学(PD)に影響を与える
  • その種類は、(1)マンノース、(2)シアル酸、(3)フコース(Fuc)及び(4)ガラクトース(Gal)が含まれる
  • 特に、マンノシル化(Man5, Man8/9)は、PKに影響しクリアランスが高くなる。その結果、薬効が不十分になる
    • 0timeで100~200μg/mLになるように投与(i.v. 10mg/kg)
    • 99% Fuc抗体では、28日後に10μg/mL
    • 99%以上Man5抗体と99%以上Man8/9抗体は同等の半減期であり、14日後に10μg/mL (図1)
  • シアル酸、N-アセチルノイラミン酸(NANA)のレベルによっては、PKに影響する可能性がある
  • グルカンであるFuc付加は、FcRIIIaとの結合性を低下させっ、ADCC活性を低下させる
  • Galレベルが低ければ、CDC活性も低くなる
  • NS0やSP2/0細胞では、「Gal1-3Gal1-4N-アセチルグルコサンミ-R」、「N-グリコリルノイラミン酸(NGNA)」などが含まれる(ヒトには存在しない)が、NS0やSP2/0の遺伝子組換え体で作られた抗体医薬品が存在している
図1. Fuc化抗体とMan5化及びMan8/9抗体のPK

参考文献

Antibody Glycosylation and Its Impact on the Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Monoclonal Antibodies and Fc-Fusion Proteins (2015)

https://www.researchgate.net/profile/Liming_Liu4/publication/274967692_Antibody_Glycosylation_and_Its_Impact_on_the_Pharmacokinetics_and_Pharmacodynamics_of_Monoclonal_Antibodies_and_Fc-Fusion_Proteins/links/5a5e6026458515c03ee0b245/Antibody-Glycosylation-and-Its-Impact-on-the-Pharmacokinetics-and-Pharmacodynamics-of-Monoclonal-Antibodies-and-Fc-Fusion-Proteins.pdf?origin=publication_detail

市販の抗体とそのpIと血中半減期に関する文献。FcRnとIgGとの結合についてシミュレーションのデータあり。FcRnと結合親和性が高い抗体ほど、血中半減期は低くなる。

Charge-mediated influence of the antibody variable domain on FcRn-dependent pharmacokinetics (2015)

https://www.pnas.org/content/pnas/112/19/5997.full.pdf